スコットランド、独立したらどうなる?(金融・政治)




スコットランド、独立したらどうなる?


政治

論点①スコットランド独立後の国家元首
独立は1603 年の同君連合(the Union of the Crowns)に戻ることを意味し、現在の英女王を国家元首とする立憲君主制を採用する見込み。
→スコットランドはコモンウェルス(英連邦)を構成する1か国となる

論点②スコットランドのEU加盟
住民投票が通過した場合、スコットランド政府は速やかにEUと交渉し、独立の日までに完全な加盟国になるとの決意を示している。
つまり、住民投票の数年以内にはスコットランドはEUの29番目の加盟国になる可能性が高い。
一方で、SNPはシェンゲン協定には参加しない意向を示しており、その代わりに英国、アイルランドとの共通通行地域(the Common Travel Area)に留まると述べている。
→この特別扱いをEUは快くは思わないはずで加盟交渉に影響がでそう

論点③国防
現在、英連合王国に属するスコットランドは核保有国だが、独立後は核兵器を除去し状況に見合った防衛力を維持するとしている。早期にNATOに加盟し、構成国として核不保持国になることを目指す。

金融

問題①金融業の比率が高くなる
スコットランド政府が預金保険の提供や経営難に陥った銀行の救済に責任を持たなければならなくなる。
→大きすぎる銀行のバランスシートは偶発債務リスク、信用懸念につながる。

問題②銀行ライセンス
スコットランドに本拠地を置く大手銀行がそのままスコットランドにとどまれるかは不透明。
RBS等はスコットランド以外の英国で行う事業が大半を占めるため、本拠地を変更する必要性に迫られる。
RBSのオーナーである、Alison Rose, Natwest Group CEOはすでに以下のとおりスコットランド撤退を示唆している。
「スコットランド独立の場合、本店をエディンバラからロンドンに移転する 」
「独立後のスコットランドにとって当行のバランスシートは大きすぎる」 
→大手銀行の多くが英国内の他地域へ移転すれば、独立後のスコットランド政府の信用格付けが低下する。

問題③通貨(ポンド)
ポンドを継続して使用する場合、通貨同盟を結ぶ必要がある。
→2014年に同様の議論があった時、英中銀元総裁のマーク・カーニーから「財政に関する主権を一部放棄しなければならない」との条件が示されている。

問題④英国債の返済義務
英政府見解では、あらゆる状況においても英政府が発行した債務は、英政府が返済義務を負うとされる。
ただし、引き受け額を巡って、2014年当時、以下の議論があった。
⇒ 通貨同盟の前提で、スコットランドは英国政府債務の一部を引き受け
⇒ 正確な継承金額と返済条件は交渉次第
⇒ 通貨同盟でない場合、スコットランドは英国債務のシェア引き受けを拒否する
ブレグジットの離婚費用と同じく、引き受け額を巡って交渉が繰り広げられる見込み。


以上、ご参考まで!

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