財政政策が通貨に与える影響を再確認
ツイッター等で個人FX投資家界隈の相場コメントを見ていると、財政拡大をベースマネー拡大と勘違いする向きがある気がします。
特に「イエレン財務長官就任でドル安」というロジックを語るコメントは多かったです
が・・・このロジック、正しいですか?
少なくとも、このロジックは、筆者の考える為替理論からは外れています。
勘違いしてはいけないこと
イエレン氏が財務長官に就任すると、彼女が担当するのは金融政策ではなく財政政策です。
FRB 議長ならば、金利やベースマネー調整による為替操作が可能かもしれませんが、財務長官が為替操作したい場合はそう簡単にはいきません。
財務長官が取り得るツールは為替安定化基金の運用も含めた ①為替介入か、②為替政策報告書を用いたけん制 くらいです。
正直、トランプ流の政策批判の上に成立したバイデン政権がこの2つに手を付けるとは考えづらいです。
では、財政出動によってドル安に誘導するというロジックはどうでしょうか?
筆者の見解としては、このロジックはぼんやりと間違っていると思います。
財政出動はそもそもドル高要因
財政政策は貨幣乗数の分子に影響を与えるものであって、その分母を増加させる政策ではありません。
IS-LM曲線的にも、ケインズ的財政政策は国民所得の浮揚、金利高⇒ドル高に作用するとみられてもおかしくありません。
ドル安に振れるのはイエレンが思ったほどの手腕を発揮できなかった場合に起こり得ることでしょう。
財務長官就任前に彼女の手腕を期待しつつドル安に賭けるというのは、どうも辻褄があいません。
ドル安に振れたのがバイデン勝利と同タイミングであったため、後付け的にイエレン財務長官就任でドル安に振れると解釈することは危ういように思います。
よって、ここに警鐘をならしておきます。
以上、ご参考まで!
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