デイトレは安全?

デイトレードは保有しないからリスクが少ない?

ネットサーフィンをしていると、デイトレードは保有しないからリスクがないとか、自称〇億円トレーダー的な人達の売り文句を見かけました。

こういったコメントは、単にオーバーナイトポジションを持たないことを指してリスクが無いと言っているのであれば、そうかもしれませんが、どうやら、秒、分単位で取引することがリスクが少ないと言っている情報も多いように思います。
時刻「秒」
であれば、「デイトレードはリスクが少ない」というロジックは間違いだと思います。

なぜなら、統計学上、ボラティリティは短期トレードであればあるほど、リスクが高いとされるからです。

ボラティリティ(VAR)と投資時間の関係
出所:Research gate

見ての通り、ボラティリティの期間構造は時間の経過とともに下がります。

つまり短期トレードであればあるほど、ランダムウォークとなり、予想できないのです。

短期トレードで勝率をあげることはできないのか?

統計学的にいうと、秒、分単位の短期トレードは、ギャンブル性が強い割に勝率をあげることが難しいです。

機関投資家等、ロジックがモノを言う世界では、統計学的に秒、分単位の時間軸はギャンブルと変わらないので、高速トレードを可能とする優れたアルゴリズムがあるカ、裁量を持った人でフローが見えてない限りやりません。

巷でよくみる、「〇億円稼いだトレーダーが教える秒速のトレード手法」的な、極めて短期で儲けることを勧める商材は、科学的根拠が示されていないことが多いです。

常勝トレーダーの技とか手法とか、よくわからない説明しか見たことありません。

再現性が置いてけぼりにされているように思います。

相場は行動経済学の領域、フローと市場心理とデータサイエンスの融合なので、統計学が置いてけぼりにされると、再現不可能な運任せになりがちです。

勝率を上げるには分析、分析、分析

為替は長いスパンで見ないと、短期間ではボラティリティのノイズが大きすぎるので、通貨のパワーバランスを分析しても勝率を挙げることはできないと思います。

そもそも、秒、分単位でまともな判断を繰り返せるほど、人間の演算能力は優れていません

脳梗塞のイラスト

よって、勝率をあげたいのであれば、相場分析し投資するスタイルがワークするレベルの時間軸、なるべく長い目線での取引スタイルを確立されることをお勧めします。

よって、大きな金額で分足の短期トレードをするよりも、少額で相場分析をして長期トレードをした方が、確率的には勝率は上がるとの結論です。

ホントにホントに、秒、分単位で勝つことは不可能?

秒、分単位の短期トレードで儲けるという試みは、実は金融の最先端にある投資銀行が巨額のシステム投資を行い、投資手法を開発している、いわば新しい研究領域です。

彼らのストラテジーは、時間を極めて細かく、ミリ秒単位レベルに分割し、非常に高性能なコンピュータの演算処理力を活用し勝率を上げようというものです。

コンピュータを使い、板のBID/OFFERの状況からミリ秒毎の需給のゆがみを探したり、異なる市場間の価格差を素早く見つけ、裁定取引を行ったりするものが主流のようです。



量子コンピュータのイラスト


つまり、人間に不可能なことを最新のテクノロジーを使い、排他的に追及しようとする考え方です。

あくまで人間ではなく、コンピュータの処理速度だからこそ可能な取引手法です。

このような手法は、高頻度取引(こうひんどとりひき、英: high-frequency trading, HFT)と呼ばれ、開発に数十億円規模の財源が必要となります。

人間として勝率を上げたいのであれば、やはり人としての情報処理がモノを言う時間軸で戦うことをお勧めします。

それは、秒、分単位ではなく、少なくとも時間以上の単位だと思います。

時刻「時」ゲームの形をした脳のイラスト

(参考)高頻度取引アルゴリズムの種類

裁定アルゴリズム
同一商品の価格差から裁定取引により利益を上げる。
ディレクショナル・アルゴリズム
ニュースや経済指標が発表になったときに、自動的にいち早く注文を入れる。
レイテンシー裁定
米国市場で複数の取引所への同時発注(intermarket sweep order)の注文が入ったときに、別の取引所で入った注文を見て、ミリ秒単位で若干到着が遅れている取引所に対して先回りで注文を入れる方法。

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