なぜ金が買われる?8年8か月ぶりの高値更新
金が高騰
アフターコロナで、金価格の高騰がとまりません。
指標とされるニューヨーク金先物は1オンス=1800ドルを突破し、2011年11月以来、8年8か月ぶりの高値を記録しました。
2011年11月と言えば、欧州債務危機を巡る緊張がピークに達していた時期で、ユーロが崩壊するとのリスクが真剣に議論されていた時代、まさにリスクオフの金買いだったのです。
しかし、足元の相場を見ると、金高は株高と共存しています。
株高でも金人気が衰えないのは、「リスクオフの金」の性質上、非常に異質な状態です。

株高なのになぜ?
まず、なぜ金がかわれるのか、金融政策の観点から整理します。
金融の観点からは、金価格の高騰が止まらないのは法定通貨への信認が毀損しているからだと考えられます。
コロナショックを受けた各国政府の形振り構わない拡張財政路線を突き進みました。
結果、法定通貨の価値が毀損するとの懸念が浮上し、代わりに金に逃避しているというロジックです。
FOMCのドットチャートは、当面はゼロ金利を維持する方針を示しています。
通貨を持っていても金利がないのであれば、金利が付かない金に投資するデメリットもないわけです。
法定通貨の魅力がなくなったことによる、「とりあえず金」というムードが強まっています。
また、中銀としては自国の通貨の信任を守るためには金を保有することがセオリーです。
つまり、金融緩和をすればするほど、中銀は金を購入せざるを得なくなります。
これが投資家の「代替通貨としての金」戦略と相まって、金の価格を上昇させているものと考えられます。
カネ余りも寄与
金融政策によってカネ余りが加速する中、投資先として「とりあえず金」というロジックも十分に成り立ちます。
この考え方であれば、「とりあえず株」的な株高との共存も説明できます。
このロジックに沿うならば、金投資ブームは、金融緩和によるカネ余りが続く限り当面続くことになります。
利回りゼロのカネ余り時代、「金」が注目されるのは当然の帰結といえるのかもしれません。

金の需給
現在地球に埋蔵されている金はおよそ56,000トン程度と言われています。
が、その大部分は採掘が困難な場所に埋もれているため、近い将来、在庫を再利用する以外手段がなくなると言われています。
なぜなら、金は装飾品だけではなく、工業用として携帯電話などの電子機器の内部にも多く使われているからです。
つまり、電子機器の発達と比例し、金の価格は需給を反映し高騰していくのです。
ただでさえ稀少性が高い資源な上、工業製品にも使われるとなれば、金の価値が上がるのは自明の理です。
ちなみに、基本的に資源の少ない日本ですが、金だけは別の話です。
というのも、日本近海には未開拓の巨大な金鉱脈があるといわれており、その総量はなんと6800トン。
なんと全世界の現有埋蔵量のおよそ16%にも匹敵するようです。
さすが、黄金の国ニッポン。
技術革新により、採掘が可能となれば、将来、日本で「ゴールドラッシュ」が起こるかもしれません。
夢のようですね。

以上、ご参考まで!

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