為替ってなんだろう

為替(かわせ)とは?

為替の歴史は長く、日本では江戸時代に大きく発達したといわれ、海外では、古代バビロニアや古代エジプト、8世紀のイスラム帝国にも為替手形は存在したという説があります。

しかし、為替が意味するものは、現在の一般的なイメージ、例えばドル円とかユーロ円等とは、かけ離れています。

実は、為替のそもそもの意味は違う国の通貨を両替することではなく、遠隔地の決済等を効率的に行うための「預かり証」を意味するものでした。

例えば、江戸の商人が大坂の商人に代金を支払う場合、現金を直接届けるのでは盗難などの危険が伴います。

そこで、商人は両替商に代金を渡して為替手形(支払いを依頼した証書)を発行してもらえば道中のリスクが減ると考えました。

その手形を受取った大坂の商人が指定の両替商に持って行き、代金を受取ることで、現金を直接輸送することを避けたのです。
旅装束のイラスト(女性)
古代エジプトでも、穀物を倉庫に預けた際に発行される「預かり証」が有価証券として流通するシステムが存在したようです。

為替とは交換する手段

そもそもの為替の語源は「交わす」(交換する)が変化し、「かわせ」になったといわれています。

語源からわかるように、為替は、売買代金の受払い等、取引を交わす手段のことです。

現金を輸送することなく行う手段、または資産を証明する有価証券等、様々な取引を指す、非常に広義なものです。

よって、現代の、支払いや送金のための銀行振込や、公共料金等の銀行口座からの引落しなども為替の一種といえます。

このように国内で行われる為替取引は、内国為替と呼ばれ、異なる通貨間の為替取引(ドル円取引等」のことを、外国為替と呼びます。

外国為替市場:ドル円の歴史

日本の通貨といえば、「円」ですが、日本で初めての統一通貨「円」が発行されたのは明治4年5月10日です。

それまでは、日本中で統一された通貨は存在していませんでした。

発行当時は1ドル、1円の交換レートだったのですが、国際秩序の変化、インフレ等を経て円の価値は徐々に弱まっていきました。

ドル円の変遷

1931年 イギリスと日本が金本位制を廃止し、急激なインフレが発生
1ドル = 5円

1945年 日本敗戦 戦後の混乱期
1ドル = 15円

1947年 食料エネルギー問題などによるインフレ
1ドル = 50円

1949年 GHQがドル円相場を360円に固定
1ドル = 360円

以降22年間は、ドル円相場は固定相場に移行

1971年 ニクソンショック
1ドル = 300円

1978年 日本の高度経済成長が続き、円高が進んでいく。
1ドル = 200円

1985年 プラザ合意 

以降、変動相場制に移行

2011年 戦後円最高値
1ドル = 76円

以上のとおり、長い年月をかけ成長してきた為替市場ですが、ドル円相場は現在とは全く違った市場でした。
10万円のイラスト(扇)

戦後の固定相場制

プラザ合意までの間は、為替市場は固定相場制であったため、現在のように取引が活発化するということはなかったようです。

この固定相場制は、1944年に第2次世界大戦終結に先んじてブレトン・ウッズで連合国間で合意された内容に基づいています。

日本は連動国と交戦中であったため、もちろん交渉には参加しておらず、戦勝国である連合国のルールに従う形で、後で固定相場制を適用しました。

この連合国ルールの固定相場制には2つの原則があります。

① 参加国の中央銀行は外貨準備として、米ドル、英ポンド、または金を保有すること
② 自国通貨を対ドルの目標レートのプラスマイナス1%内の変動幅に抑えること

このシステムは1973 年まで継続しました。
国際連合総会のイラスト
しかし、経済は刻刻と変化していくもので、市場経済の発達とともに市場変動の圧力が準備金の範囲内を超えるレベルまで強まりました。

とうとう、ベトナム戦争での戦費拡大により、アメリカが金本位制を維持できなくなります。

すると、ブレトン・ウッズ体制も、その都度通貨価値を切り下げ、切り上げするなど、次第に「ゆっくり変動する固定相場制」へ移行しました。

(固定相場制から管理フロート制に移行した中国も、この道筋をたどっています。)

そして、結局1973 年以降は、主要通貨の対ドルレートも完全に変動相場制となったのです。
ベアとブルのイラスト

結論

現代社会に住む、我々が想像する為替とは、非常に狭義なものです。

過去、ドル円相場は数百パーセントレベルの地殻変動を繰り返してきたことを鑑みれば、将来、ドル円は100円付近とのイメージは通用しなくなる可能性は十分にあります。

ジンバブエドルのように何度もデノミを実施した挙句、通貨そのものが廃止に追い込まれるリスクもあるので注意が必要です。

過去から学び、リスクをしっかりと認識したうえで、外国為替取引を行いたいものです。


とある在英トレーダーTimのフォローはこちら

面白かったと思った方は「いいね」ボタンお願いします。
🙌

コメント

このブログの人気の投稿

ターゲット・リデンプション・フォワード(TARF)と欧州規制当局の目

銀行の流動性規制(LCR, NSFR)を整理

ロンドンでトレーダーになるために必要な試験てあるの?