投稿

ロンドンでトレーダーになるために必要な試験てあるの?

イメージ
今回は、英国でトレーダー就職をする場合に必要なプロセス・試験について記事にします。 (相場の話ではないので、興味のない方は、つまらないかもしれません) まず、当たり前ですが、ロンドン金融街でトレーダーとして勤務するには、どこかの銀行から 採用通知をゲットする必要があります。 当然、学歴、職歴、面接での印象等から総合的に判断されます。 無事、面接等をパスし、採用通知を受けた後は、金融庁登録関連で2つ待ち受けています。 ①金融庁Approved Person登録と②CISI試験です。 まず、①金融庁Approved Person登録は、具体的には過去の経歴を金融庁に提出し、審査を受けます。 新米トレーダーだと学歴くらいしか見られませんが、GMクラスでの登録は、トレーダー歴が重要視されます。(社内異動を繰り返した駐在員等で、一貫性のない職歴の場合は、認可が下りないこともあります) トレーダー業務を遂行するに値する、と承認が下りた後は、②CISI試験を受験する必要があります。 具体的には英金融庁FCA (Financial Conduct Authority) が定める CISIの試験科目(法令・市場専門科目等)に合格する必要 があります。(受験科目は職務・銀行によってばらつきがあります) 日本の外務員試験のようなもので、難しい試験ではないのですが、厄介なのは 受験の回数制限がある ところです。 「数うちゃ当たる」戦法を封じ込め、金融知識がある人材のみに金融業認可を与えることを目的としているようです。 CISIのルール上、受験可能回数が6回に設定されいる上、不合格となった場合、次の受験までは、数か月待たないといけないようです。 というより、雇用主側が独自ルールを設定してることが殆どで、6回も受験できません。 この試験に不合格になると、どの銀行でも不適合とみなされることが多く、 3回不合格となった場合には解雇される ことが一般的です。 新人にとっては、頭の良し悪しを判断される材料となるので、なめてかかるのは得策ではありません。 しっかりと勉強すれば、合格は難しくはないのですが、勉強時間を取らずに受験してしまうことだけは避けた方がいいです。 個人的な肌感覚としては、週末を2回つぶせば合格ラインに立つことができるレベルの試験だと思います。 非英語圏から来た人の場合 試験の難易度が...

マニアックな為替介入の分析実務

イメージ
本欄は、結構マニアックです。 為替介入額の推定等、分析実務を身に着けたい方には役に立つ内容ですが、そうでない方にとっては、あまり興味がないかもしれない情報です。 それでも、ドル円が下落し通貨介入が市場トピックスに浮上する中、その介入による効果、把握方法を知りたい方は、以下、参考にしてください。 為替介入の種類: 不胎化介入と非不胎化介入 政府(中央銀行)による外国為替市場への介入には「非不胎化介入」と「不胎化介入」があります。 非不胎化介入の場合、政府(中央銀行)の外貨保有増に応じてマネタリーベース(準備預金)が増加し、金利低下や、マネタリーサプライの増加が起こります。 それがさらに資本余剰、輸入増を通して外国通貨高・自国通貨安をもたらすメカニズムです。 一方、不胎化介入の場合には、マネタリーベース(準備預金)に変化がないため、マネーサプライに与える影響もありません。 したがって為替相場に与える影響も限定されるわけです。 介入時の政府のバランスシートの変化 メカニズムを理解するために単純化したケースで、政府(中央銀行)・民間金融機関バランスシート上での 変化を整理します 。 (見方) 100の外貨買いを実施し、外貨余剰となったものの、特段の吸収オペレーションを実施せずに日銀当座預金に放置しています。 (見方) 100の外貨買いを実施すると同時に、資金吸収オペレーションとして、T-Billを100購入しています。 介入額の推計 為替介入額と、その不胎化のための金融調節額は日銀の公表する「日銀当座預金増減要因と金融調節」(毎営業日更新)によって推計することができます。 毎日の取引終了後に「当日の実績速報」と「翌日の予想」がホームページ(http://www3.boj.or.jp/market/jp/menu.htm)に掲載されています。 実際にあったデータを基に、政府の円売り介入額を推計してみると以下の通りです。 1 銀行券要因 対市中の銀行券の収支が計上される項目。市中の個人や法人の銀行券に対する需要に応じ、市中銀行は日本銀行における自行の当座預金口座において銀行券の引き出しや預け入れなどを行う。この行動により当座預金が増減し資金需給の要因となる。  2 財政等要因 対国庫の財政資金の収支(市中と国とのお金の受け払い)が計上される項目。  また、実際の為替介入額のヒス...

千羽鶴、願いよ届け

イメージ
願いよ届け千羽鶴 先日、訪れたイギリスの病院で千羽鶴見つけました 本当に千羽の折り鶴が色とりどりに作られた、立派なものでした。 まさか、イギリスで千羽鶴を拝むことができるとは夢にも思っていなかったので、とても驚きました。 壁に貼ってあった 説明では入院した友達(Ellaさん) のためにイギリスの子供達がSadako Sasakiさんにインスパイアされて作ったとのこと。 結局、そのお友達は9歳で亡くなってしまったけど、千羽鶴はずっと飾り続けいます😭 元気になってほしい全ての子ども達のために。 Sadako Sasakiさんとは? 恥ずかしながら、私は Sadako Sasakiさんについて、この千羽鶴をきっかけに初めて知りました。 どんな日本の方なのだろうと 調べてみると、Sadako Sasakiさんは、実は、Sadako and the Thousand Paper Cranesという英語の小説の主人公のようです。 カナダ系アメリカ人作家が書いた子供向けの歴史小説で、原爆投下時に広島に住んでいた佐々木禎子の伝記です。 この小説は、千羽鶴を作った人は願いが叶えられるという伝承を海外に伝えるきっかけになったもののようです。 なので、逆に日本ではそんなに知られていないのかもしれません😺 (単に自分だけが知らなかったのかもしれませんが💦) とにかく、これを機に読んでみようと思いました。 イギリスで知られる日本文化はスシやトヨタだけではないようです。 今回の発見は、とても勉強になりました。 とある在英トレーダーTimのフォローはこちら Follow @TimCIIA   面白かったと思った方は「いいね」ボタンお願いします。 🙌

為替介入文学🐣口先介入の言い回しから測る介入の蓋然性

イメージ
口先介入から測る通貨介入の蓋然性分析 コロナ危機と米中リスクが相まって、リスク回避通貨に需要が殺到する展開が続いています。 このような相場では円が買われるのが必定です。 そうなると、「為替相場の安定化を図りたい日本政府」と、「円買いを狙う市場」の対決構造が出来上がります。 本欄では、今後、相場のフォーカスとなり得る「為替介入の蓋然性」を測るために必要な当局関係者からの言い回し(ボキャブラリー)を整理します。 口先介入の強弱 通貨当局の為替相場変動(円高)に対する懸念のレベル感を過去の発言に基づいて類型化すると以下のようなものになります。 口先介入:レベル0 相場についてはコメントしない 為替の動向に一喜一憂しない 口先介入:レベル1 相場は経済や金融のファンダメンタルズを反映するのが望ましい 相場は安定的に推移するのが望ましい 口先介入:レベル2 為替市場の動向を注視している 市場動向を注意深く見守っている 市場動向を大きな関心を持って注視している 口先介入:レベル3 経済のファンダメンタルズを反映していない 為替の行き過ぎた変動は日本経済に好ましくない 口先介入:レベル4 円相場の動きは行き過ぎている 投機勢主導で急速に円高が進む局面が顕著になってきている 口先介入:レベル5 相場の動きがファンダメンタルズを全く反映していない 一方的な動きで看過できない 一層の緊張感をもって注視する 口先介入:レベル6 為替の行き過ぎた動きに対してはあらゆる措置を排除しない 行き過ぎた投機的な動きに対しては断固たる措置をいつでも取る 行き過ぎた円高を是正する (諸説あり) なぜ言い回しが決まっている? 実際の為替介入は、旧民主党政権時の2011年を最後に実施されていないため、自民党政権になりボキャブラリー、言い回しは変化するかもしれません。 なので、そのまま当てはめることはできませんが、麻生財務相の発言を聞いていると概ね同じようなボキャブラリーを使っている印象です。 これは推察ですが、たぶん財務省には定型文マニュアルのようなものが存在しているんだと思います🐣 当局としても、あえて言い回しを変えずに「あと、どれくらいいったらするぞ!」っていう緊張感が、相場に正確に伝わってほしいんでしょうね。 そもそも、通貨介入は、一種のレート操作なので、介入せずに相場が気づいてくれて、円買いから...

欧州政治経済状況の整理:EU復興基金と欧州の将来

イメージ
欧州政治経済状況の整理 ~EU復興基金と欧州の将来~ 長い長いEU首脳会合が終わり、ほっとしましたが、問題はこれからのような気もします。 参考までにEU復興基金についてのポイントと今後の欧州経済における論点を以下のとおり整理しました。 EU首脳会合の整理 会合を終えて ⇒4月、6月は決裂したが、今回は3度目の正直となった ⇒2日で終わると思われたサミットは5日間にわたり欧州連合史上2番目の長さのマラソン会合となった ⇒倹約4か国は反対すること自体が目的化していたみたい 内容は? ⇒結局、7500億ユーロを総枠維持で合意 ⇒補助金3900億ユーロ、融資3600億ユーロ ⇒支援対象国が条件を満たしていない場合に資金提供を一時的に停止する「緊急ブレーキ」の仕組みが組み込まれた ⇒7,500億ユーロの資金調達は2021-2024年の間に実施 データ:FT抜粋 ⇒返済は40年後 ⇒クロスデフォルト条項なし ※クロス・デフォルト:債務者がある一つの債務に対してデフォルトとなった場合、他の債務や、別の債権者に負っている債務に対しても前倒しして債務の返済を要求できる仕組み。これが無いということは、どこかの国がデフォルトしても復興基金が連鎖的にデフォルトに陥ることがないということ。 雑感 結果だけ見れば5日間費やしたのは補助金と融資の比率を、ああでもないこうでもないと話し合う、内訳をいじるだけの作業でした あと、しれっと 倹約国の次期EU中期予算での払い戻しの増額が決定されました。 このEU予算からの払い戻しは、かつて英国が受け取っており、英国のEU離脱を機にフランスが段階的に廃止したいと考えていたものです。(言ったもの勝ちシステム) 全会一致での意思決定メカニズムを採用する欧州連合では、「反対に回ったほうが自国に有利になる」という、モラハラまがいの戦法が、今回、結果的に有利に働いたことで、嫌な前例が出来てしまいました。 欧州の今後が心配です。 ※  倹約4カ国(オーストリア、オランダ、スウェーデン、デンマーク) 金融から財政へのシフト そもそも、政治家が議論に時間を費やせるのはECBが必死に金融政策で支えているからです。 前回の会合でラガルドが復興基金を「a real game-changer」と発言しましたが 、 これは「これ以上、金融に依存するな」という気持ちの表れです。 ...