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バイデン氏が大統領になったらどうなる?ドルは売られる?

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米大統領選挙 2020年11月3日に実施 される、4年に一度のアメリカ大統領選挙ですが、徐々にマーケットの注目が集まってきています。そこで、米大統領選挙の趨勢、バイデン氏の政策、市場への影響を整理することにしました。 ほんのり長めですが、大統領選を見るうえで参考にしてください。 バイデン民主党大統領候補 共和党候補は現職のトランプ氏で確実ですが、民主党は 一時は極左のサンダース氏が候補となるとの見方も浮上 していました。 バイデン氏は元来、資金集めが苦手とされ、苦戦が目立った民主党候補指名争いの序盤では選挙資金の枯渇で撤退する可能性が指摘されていたのです。 ただ、その後の巻き返しで党候補指名が確定的となり、指名を争った他の候補らが軒並み同氏支持に回ったことで資金繰りが一気に好転。 結局、民主党は中道派のバイデン氏を候補に立てる ことで落ち着きました。 米国では、一般的に中道派の方が得票率・支持率は高いため、対トランプ戦略としても、無難な結果だったと思います。 両党の支持率の趨勢は、というと、共和党支持層からは引き続き高い支持を得ているトランプ大統領ですが、コロナウィルス対応や、ミネアポリス事件への対応を受けて無党派層が「アンチ化」しているようです。 スウィングステートのフロリダ、そして”Rust belt(赤錆びた地帯)”6州の中核であるペンシルバニア、ウィスコンシン、ミシガンの3州においても、民主党のバイデン氏がリードしています。   大統領選の注目ポイントは? トランプ氏にとって最大の打撃は、史上最長の拡大が続いていた景気がコロナ禍で奈落の底へ沈んだことです。 議会予算局は4〜6月期の実質GDP(国内総生産)成長率を年率マイナス約40%と予想しています。 コロナウィルス感染が拡大する前の経済政策は、ほとんど形骸化したため、今回の大統領選の争点は、 コロナウイルス感染症への対応、一本勝負 となってしまった感があります。 とりわけ、ウイズ・コロナ時代、ポスト・コロナ時代を見据えた経済戦略が重要なポイントとなるはずです。 コロナ感染対策は、初動こそ、FRBが大規模な金融政策によってかじ取りをしましたが、すぐに金融政策の限界論が浮上しています。 よって、今後の経済支援は財政へシフトしていくものと考えられ、米大統領選は...

デイトレは安全?

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デイトレードは保有しないからリスクが少ない? ネットサーフィンをしていると、デイトレードは保有しないからリスクがないとか、自称〇億円トレーダー的な人達の売り文句を見かけました。 こういったコメントは、単にオーバーナイトポジションを持たないことを指してリスクが無いと言っているのであれば、そうかもしれませんが、どうやら、秒、分単位で取引することがリスクが少ないと言っている情報も多いように思います。 であれば、「デイトレードはリスクが少ない」というロジックは間違いだと思います。 なぜなら、統計学上、ボラティリティは短期トレードであればあるほど、リスクが高いとされるからです。 ボラティリティ(VAR)と投資時間の関係 出所:Research gate 見ての通り、ボラティリティの期間構造は時間の経過とともに下がります。 つまり短期トレードであればあるほど、ランダムウォークとなり、予想できないのです。 短期トレードで勝率をあげることはできないのか? 統計学的にいうと、秒、分単位の短期トレードは、 ギャンブル性が強い割に勝率をあげることが難しい です。 機関投資家等、ロジックがモノを言う世界では、統計学的に秒、分単位の時間軸はギャンブルと変わらないので、 高速トレードを可能とする優れたアルゴリズム があるカ、裁量を持った人で フローが見えてない限り やりません。 巷でよくみる、「〇億円稼いだトレーダーが教える秒速のトレード手法」的な、極めて短期で儲けることを勧める商材は、 科学的根拠が示されていない ことが多いです。 常勝トレーダーの技とか手法とか、 よくわからない説明 しか見たことありません。 再現性が置いてけぼりにされているように思います。 相場は行動経済学の領域、フローと市場心理とデータサイエンスの融合なので、統計学が置いてけぼりにされると、再現不可能な運任せになりがちです。 勝率を上げるには分析、分析、分析 為替は長いスパンで見ないと、短期間ではボラティリティのノイズが大きすぎるので、通貨のパワーバランスを分析しても勝率を挙げることはできないと思います。 そもそも、秒、分単位でまともな判断を繰り返せるほど、 人間の演算能力は優れていません 。 よって、勝率をあげたいのであれば、相場分析し投資するスタイルがワークするレベルの時間軸、 なるべく長い目線での取引スタイル を確...

なぜ金が買われる?8年8か月ぶりの高値更新

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金が高騰 アフターコロナで、金価格の高騰がとまりません。 指標とされるニューヨーク金先物は 1オンス=1800ドルを突破 し、2011年11月以来、8年8か月ぶりの高値を記録しました。 2011年11月と言えば、欧州債務危機を巡る緊張がピークに達していた時期で、ユーロが崩壊するとのリスクが真剣に議論されていた時代、 まさにリスクオフの金買い だったのです。 しかし、足元の相場を見ると、 金高は株高と共存 しています。 株高でも金人気が衰えない のは、「リスクオフの金」の性質上、非常に 異質な状態 です。 株高なのになぜ? まず、なぜ金がかわれるのか、金融政策の観点から整理します。 金融の観点からは、金価格の高騰が止まらないのは 法定通貨への信認が毀損している からだと考えられます。 コロナショックを受けた各国政府の形振り構わない拡張財政路線を突き進みました。 結果、 法定通貨の価値が毀損するとの懸念が浮上 し、代わりに金に逃避しているというロジックです。 FOMCのドットチャートは、当面はゼロ金利を維持する方針を示しています。 通貨を持っていても金利がないのであれば、 金利が付かない金に投資するデメリットもない わけです。 法定通貨の魅力がなくなったことによる、「とりあえず金」というムードが強まっています。 また、中銀としては自国の通貨の信任を守るためには金を保有することがセオリーです。 つまり、金融緩和をすればするほど、中銀は金を購入せざるを得なくなります。 これが投資家の「代替通貨としての金」戦略と相まって、金の価格を上昇させているものと考えられます。 カネ余りも寄与 金融政策によってカネ余りが加速する中、投資先として「とりあえず金」というロジックも十分に成り立ちます。 この考え方であれば、「とりあえず株」的な株高との共存も説明できます。 このロジックに沿うならば、金投資ブームは、金融緩和によるカネ余りが続く限り当面続くことになります。 利回りゼロのカネ余り時代、「金」が注目されるのは当然の帰結といえるのかもしれません。 金の需給 現在地球に埋蔵されている金はおよそ56,000トン程度と言われています。 が、その大部分は採掘が困難な場所に埋もれているため、近い将来、在庫を再利用する以外手段がなくなると言われています。 なぜなら、金は装飾品だけではなく、工業用とし...

なぜドル円は落ちない?需給から分析

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為替レート決定理論の主役は需給 コロナ後の超低金利金融政策により世界の金利差が失くなってしまったことで、 基礎的な国家間の需給に注目する 投資手法が再び脚光を集めています。 この点において、円は「世界最大の対外純資産国」というポジションから、相対的に買われやすい通貨であるはずです。 ところが、 ドル円相場を見ると、思いのほか持ちこたえており 、コロナ感染拡大後の経済停滞下においても、100円を割っていないことは、素直に驚くべきことだと思います。 なぜ、未曽有の経済災害下において、リスク回避の円買いが、鳴りを潜めているのか、フロー・アプローチを復習した上で、整理したいと思います。 フロー・アプローチとは 通貨の本源的価値を図るには、いろんなアプローチがありますが、その中の一つにフロー・アプローチがあります。 フロー・アプローチは、国家間の貿易等、取引高から需給を捉える方法です。 一定期間に生じた対外取引の受取りと支払いの金額から、為替レートを導き出そうというものです。 シンプルに言うと、 貿易収支が、黒字の国の通貨は買われ、赤字国の通貨が売られる、 というロジックです。  非常に古典的な理論で、グローバリゼーションが加速し、資本取引が増加するまでの間、為替レート決定理論として説明力を持っていました。 ちなみに、国家間の資本取引は、1960年代に多国籍企業が台頭する形で資本自由化は現実化しました。 それまでの、国家間の資本移動が許容されなかった時代には、国家間の取引は、主に貿易によるものが大半だったため、その収支によって為替レートを説明する手法(フロー・アプローチ)が正しいとされていたのです。 フロー・アプローチから金利平価説へ その後、資本取引が国際間の取引の大半を占めるようになると、投資利益を比較することで資金が移動するようになります。 この投資利益の判断基準として、広く利用される指標は金利です。 よって、ドル円市場を予想するためには、日米の金利差に注目するというトレード手法が一般的に使われるようになりました。 金利平価説から再びフロー・アプローチへ フローアプローチは、金利に主役の座を奪われたオールドスタイルですが、世界中の中央銀行の殆どがゼロ金利政策を導入したことで、金利による通貨価値判断ができなくなると、フローアプローチが再び脚光を集めるようになりまし...

為替ってなんだろう

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為替(かわせ)とは? 為替の歴史は長く、日本では江戸時代に大きく発達したといわれ、海外では、古代バビロニアや古代エジプト、8世紀のイスラム帝国にも為替手形は存在したという説があります。 しかし、為替が意味するものは、現在の一般的なイメージ、例えばドル円とかユーロ円等とは、かけ離れています。 実は、為替のそもそもの意味は違う国の通貨を両替することではなく、 遠隔地の決済等を効率的に行うための「預かり証」 を意味するものでした。 例えば、江戸の商人が大坂の商人に代金を支払う場合、現金を直接届けるのでは盗難などの危険が伴います。 そこで、商人は両替商に代金を渡して 為替手形(支払いを依頼した証書)を発行 してもらえば道中のリスクが減ると考えました。 その手形を受取った大坂の商人が指定の両替商に持って行き、代金を受取ることで、現金を直接輸送することを避けたのです。 古代エジプトでも、穀物を倉庫に預けた際に発行される「預かり証」が有価証券として流通するシステムが存在したようです。 為替とは交換する手段 そもそもの為替の語源は 「交わす」(交換する) が変化し、「かわせ」になったといわれています。 語源からわかるように、為替は、売買代金の受払い等、取引を交わす手段のことです。 現金を輸送することなく行う手段、または資産を証明する有価証券等、様々な取引を指す、非常に広義なものです。 よって、現代の、支払いや送金のための銀行振込や、公共料金等の銀行口座からの引落しなども為替の一種といえます。 このように国内で行われる為替取引は、内国為替と呼ばれ、異なる通貨間の為替取引(ドル円取引等」のことを、外国為替と呼びます。 外国為替市場:ドル円の歴史 日本の通貨といえば、「円」ですが、日本で初めての統一通貨「円」が発行されたのは明治4年5月10日です。 それまでは、日本中で統一された通貨は存在していませんでした。 発行当時は1ドル、1円の交換レートだったのですが、国際秩序の変化、インフレ等を経て円の価値は徐々に弱まっていきました。 ドル円の変遷 1931年 イギリスと日本が金本位制を廃止し、急激なインフレが発生 1ドル = 5円 1945年 日本敗戦 戦後の混乱期 1ドル = 15円 1947年 食料エネルギー問題などによるインフレ 1ドル = 50円 1949年 GHQがドル円相場を360...

相場と景気のサイクル、大損失を避けるために投資家が知っておくこと

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相場は山あり谷あり 相場は変動し続けるものです。 物理法則を見ても、 永遠に存在するモノは存在しません し、永遠に動かないチャートは存在しません。 万物には、始まりがあり、終わりがあります。全てのものが終わりに向かって進んでいるように、相場も、 時間経過とともに波打ち、変動していくことが宿命 です。 経済学的には、相場の変動は、各国間のインフレ格差や生産性格差などの実態を反映した均衡点を目指すために必要な現象であると理解されています。 固定相場 例えば、以前の中国のように固定相場制を適用した場合にはどうでしょうか? または、ユーロ圏のように域内のユーロに統一することによって、為替変動を失くせばどうですか? もちろん、固定相場を適用したり、統一通貨を導入すれば、相場の変動をゼロにすることができます。 しかし、相場の固定化は、非常に人為的な政策なので、自国経済に不都合が生じます。 具体的には、為替相場を固定するには、 「自由な資本移動」か、「自由な金融政策」のいずれかを手放さなければなりません 。 クロスボーダーの資本移動が自由化されたなかで、ある国が金融の引締めを行い金利が上昇すれば、その国へと資本が際限なく移動するため、固定為替相場制は崩壊してしまいます。 それを防ぐためには、国際資本取引を規制するか、相手の国に追随し、同じ金融政策をとる(自由な金融政策の放棄)以外にありえません。 自由な金融政策と固定相場制のために、自由な資本移動をあきらめていたのが中国で、ユーロ圏内の国は、統一通貨(固定相場制)を実現するために、域内金融政策は欧州中央銀行に一任し、自由な金融政策をあきらめています。 どう頑張っても、資本、金融、為替のすべてをコントロールすることは不可能なのです。 相場の変動を許容せざるを得ないのが、経済学的な摂理です。 このような理論を 国際金融のトリレンマ といいます。 相場変動の波を予測することは可能か? 相場を読み解くには、過去の値動きからトレンドを理解する大局観が必要です。 ここでは、長期の景気サイクルの波等について紹介します。 代表的なもので、「短期、中期、長期、超長期」のそれぞれの周期で循環すると考える手法があります。  コンドラチェフ(技術革新サイクル)→超長期サイクル:50〜60年  クグネッツ(建築投資サイクル)→長期サイクル...

ポンド・クライシスに学ぶポジショントークの重要性

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為替の需給を読むためのポジショントーク ポジショントークは、いわゆる市場に浮上する 大口取引の噂話 のことです。 海外買収案件等では、 数十億ドルにも渡るフローが一日に出ることもある ので、こういった流れに逆らい収益を上げることは、個人投資家にとって至難の業です。 したがって、大口フローの噂を聞きつければ、その流れに逆らわないことが賢明な判断であると言えます。 (ただし、プロのディーラー等から始まるポジショントークのなかには、自身のポジションを有利にしたい情報のみを流すような場合もあり、注意すべきだとも見方もあります。客観性にかける場合等、情報の良し悪しを判断しましょう。) ポジショントークの重要性を学ぶために、過去の例「ポンド・クライシス」を紹介します。 ポンド・クライシスとは ブラック・ウェンズデー (暗黒の水曜日)とも呼ばれる1992 年に発生したポンド急落の騒動。 ヘッジファンドの大口取引によりポンド売りが仕掛けられた相場の乱高下です。 当時、EU の前身であるEC(欧州共同体)では域内通貨を統合(ユーロに統合)するため、域内通貨間の為替レートを固定する制度を企図していました。 しかし、ユーロ導入に関しては、当時の欧州で随一の経済力を持ったドイツの通貨であるマルクを基準にして通貨統合を進めることが基本戦略であったため、国によってはユーロ導入(金融政策の固定化)によってダメージを受けてしまうリスクがありました。 特に、英国は、自国にインフレ体質があり景気低迷懸念があったので、好況であったドイツの金融政策に合せる行為は、経済学的には、いびつな政策運営であったと言えます。 国内でも、統合のために恣意的に価格設定(過大評価)されたポンドは英国経済に悪影響を与えるのではないかと懸念が強かったようです。 独自の金融政策が打ち出せないことは、高インフレ体質の英国にとって致命傷となりかねません。 そこに目を付けていたのが、ヘッジファンド 「クォンタム・ファンド」率いていたジョージ・ソロス です。 ソロスは、「外貨準備通貨統合することができなくなってしまうが、 英経済の現状からはポンドは売られるべき である。」と考えていました。 そこで、ソロスは、 英国の経済規模に対して、財貨準備金が少なかった ことに目をつけます。 外貨準備金が底をつけば英ポンドは英金融当局もそれ以上ポンド...